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3泊4日。 [Life]

先週火曜日に入院して翌日手術、そして金曜日にはもう退院。
終わってみればあっという間の3泊4日だった。

今まで大きなケガや病気には無縁だったので、実は入院は初めての体験。

今回はそんな目で見た、4日間の覚え書きを。

ベッドは窓辺.jpg


病室は4階の4人部屋で、その窓際が自分のベッドだった。
すでに検査などは済ませてあったので、入院当日は特にすることもなく。

手術時に必要な物の確認を看護師さんと一緒にした後は、
持ってきた文庫や雑誌をめくったりして過ごした。
べつだん、普段から痛くて仕方ない訳でもないので、手持ち無沙汰この上ない。

退屈.jpg


初日の夕食以降は、手術当日を挟んで翌々日の朝までは絶食。
手術に当たって、お腹の中を空っぽにしておいた方がいい理由はいろいろと想像がつくが、
腹ぺこだとやたら早く目が覚めるのは気が付かなかった。

手術日の朝.jpg

アラームをかけてもいないのに目が覚めた、朝5時の窓の外。
こんな早く起きても、今日は手術室に行くだけなんだが。

8時からは水も飲めなくなって、水分補給は点滴のみ。
これも翌朝まで続く。

 

手術は午後2時からだった。

車椅子出しましょうかと看護師さんは言ってくれたが、まだ普通に歩けますからと
点滴のスタンドを押しながらエレベーターで降りて、手術室へ。
昼から来てくれた妻は、その手前のソファーで待つことになる。


手術台に上がっていくつか説明を聞き、脊髄注射による下半身麻酔が始まる。
午前中の回診の時、腰の辺りに麻酔パッチというのを貼られていたので、
注射による痛みは全く無し。ほとんど気付かなかった。

1、2分でもう麻酔が効いて、下半身の感覚がなくなる。
右足全体を薬剤で拭かれているのが見えた後、目の前のモニターになにやら水中のような
映像が写りだしたと思ったら、いつのまにか始まっていた。
執刀医の先生が「メス!」なんて言って始めるのは、ドラマだけらしい。

水中に見えたのは膝の中で、内視鏡による映像だった。
手術はお皿の下を左右二箇所切って、それぞれカメラと器具を入れて行うやり方。
実際切っている膝は見えないようになっているけど、中の様子はモニターで一部始終見せてくれる。
昔見た映画の、“ミクロの決死圏”や“インナースペース”を思い出してしまった

私の膝の中は、ところどころ剥がれかけた組織がゆらゆらしていて、
たしかにあまり健康そうではなかった。
でもこれは年齢から考えると誰でもあることで、むしろきれいな方なんだそうだ。

問題の半月板は膝関節の内股側と外側にあって、
大腿骨と脛の骨の間に水平に付いている平たい組織、というのが実際見てみるとよく分る。
見た目はハマグリの足を白く半透明にしたような感じで、
金属の器具でぐいぐい押されている様子は、焼き鳥屋のナンコツより柔らかそうだ。

痛みの出る内股側をカメラが写しても、一見どこも断裂なんてアリサマには見えなかったが、
器具で押さえると、ずぼっと骨の隙間に入り込んでしまって、全然腰のない部分がある。
「ああ、やっぱり三枚下ろしみたいになってるねぇ」なんて言われてよく見ると、
その辺りは水平方向に裂けているような感じ。
どうやったらこんな事になるんだか、見当も付かないな。

で、それをどう処置したかというというのは、このへんで書くのを止めちゃう訳だけれども。。






頭上.jpg

手術はおよそ1時間ほどだった。
大量の冷水を使うそうで、終わった後は体が冷えて寒い。
しばらく電気毛布を掛けて過ごしたほどだ。

行きと違ってベッドに寝かされたまま病室に戻ると、切ってない左足を空圧で断続的に加圧する機器を付ける。
これは血栓予防のため。

下半身の感覚がなかなか戻らなくて、妻が足の裏をくすぐってもまったく感じないのが
軽い恐怖だった。
それでも暗くなる頃には、他人の体がくっつけてあるような感覚も徐々に薄れてほっとする。

不思議な事に麻酔が切れても、患部の痛みはさほど感じなかった。
それより麻酔が原因と思われる頭痛と、床ずれしそうな腰の痛さの方が辛かった。

ほとんど1時間毎に看護師さんが見に来て、体温と血圧を測っていく。
仕事の大変さとはうらはらな、彼女達の明るさはなんなのだろう。
そうでなくては務まらないのだろうけれど。

職業に貴賎なしとは言うものの、もっと評価されて然るべき人達に彼女らが含まれるのは
間違いない、と思う。

 


***

 


あまり眠れないまま、翌朝は4時半に目が覚める。
腰の痛さと空腹で、とても寝ていられない。
それになぜか汗びっしょり。

6時になると看護師さんが来て、やっと水を飲ませてくれた。
おおお、甘露。

でも最初は少しだけ。
気持ち悪くならなかったら少しづつ増やして、今日はたくさん飲んでください、との事。

36時間ぶりの食事はお粥。
香港で食べたお粥以外で、お粥をおいしいと思ったことは正直言ってなかったが、今回は別。
忘れられない食事になるだろう。


午後のロビー.jpg

点滴が外れてからは、松葉杖でトイレに行けるようになった。
気になるのは右足の甲にだけ麻酔の痺れが残るのと、頭痛だけ。
午後はロビーへコーヒーを飲みに行ったりと、もう退屈を感じる余裕も出てきた。

こんなところに.jpg

 

たそがれ.jpg

妻が記念にと、いろんな写真を撮ってくれた中にこんなのが。
ひどく消耗したとは思わなかったけど、なんとなくそんな様子にも見える、窓に写る自分。
今回は事故でも病気でもなく、自分で進んで治療を受けに入ったのだからまだいいが、
できれば病院とは疎遠でありたいなぁと、つくづく思った。





退院前.jpg

そして金曜の午後。

担当の先生は今週いっぱいは居てくれてもいいよ、と言っていたが、
頭痛も麻酔の痺れも消えていたので、もういいや。

ナースステーションで病院スタッフにお礼を言って退院。
妻にも感謝。

 

 

という、この夏のあんまり楽しくないイベントは、これにて終了。

今は時々不自由はあるものの、とにかく回復に努める日々が始まっているのであります。

早く良くなれよ、俺の膝。

 


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コメント 19

MORIHANA

整形の手術は、お腹の具合が悪い訳でもなく、
悪い箇所以外はいたって普通の状態なので、
妙な感じでしょうね。家人も、普通なのに
普通じゃない自分に戸惑っていたようです(笑

痛みが薄れると無理もしたくなるでしょうが、
ここはじっくりと休んで、リハビリをして、
来る秋に万全の備えを。どうぞ、引き続きお大事に!!
by MORIHANA (2011-08-08 13:54) 

e-g-g

家人も3年ほど前に、たぶんほとんど同じ手術を受けました。
ちょっと重かったらしく入院は一週間を超えましたが。
術後のリハビリをきちんとしなさい!
と主治医から脅かされたのが効いたのか、
その甲斐あって今はすっかり回復しました。

夏にダイナミックに動き回れないのは、
ちょっと辛いかもしれませんが、
ともかくじっくりとリハビリを。
快復の日が待っています。
by e-g-g (2011-08-08 18:34) 

SerowGOGOGO

退院おめでとうございます
動き回れる入院も退屈でしょうね
私は寝たきりから歩けるようになってからは外出許可取りまくりでした(^^;
by SerowGOGOGO (2011-08-08 19:44) 

HIRO

こんにちは。
手術から退院おめでとうございます。

幸いな事に、個人的には、入院とは無縁(入院してもおかしく無い事故等は経験あり)ですが、やはり御見舞いに行ったりすると、大変そうで…

しっかりリハビリして下さい。
by HIRO (2011-08-08 21:49) 

pitts

なるほど内視鏡手術だったのですね。とりあえず無事に終わったようでよかったです。
酸素口のKawasakiシールは、バイク乗りならちょっと気になるところですよねw

帰宅しても移動時は松葉杖でしょうか?早く日常を取り戻せるよう祈ってます。
by pitts (2011-08-08 22:22) 

FTドルフィン

だいじょぶそうですね
よかった。。。
by FTドルフィン (2011-08-08 23:28) 

tak

退院おめでとうございます。
どうかお大事に。ご自愛ください。

それにしても、川崎重工業って、
こんなもんまでつくっているんですね。
担当医や看護士さんに、
「私は、大文字のKAWASAKIの方が好きですね。」
と言って、話が通じたりしたら楽しいですね。

by tak (2011-08-09 00:03) 

うえいぱうわ

まずは一段落つきましたね。
大事が無くてなによりでした。

本番はこれからですが、慌てず甘えず、じっくり行きましょう。
by うえいぱうわ (2011-08-09 00:20) 

単二

いやいや、誠にお疲れさまでした。
四半世紀も前の自分の入院のときのことをありありと思い出してしまいました。
今は脊髄注射、痛くないんだなぁ。いいなぁ。
さて、いつ一緒に走りに行けますかね。楽しみ楽しみ。(^^)
by 単二 (2011-08-09 01:09) 

McCoy

お疲れ様でした~!
手術無事終了良かったです。

入院レポ中、腰の痛さのくだりが一番痛そうで(僕も寝返りをうてない状態で入院したことがありまして)、読んでいてその時のYASHさんの「どうにもできない気持ち」にとても共感でした^^;;;

なにはともあれ、まずはゆっくり身体を休めて、無理せずリハビリを^^b

by McCoy (2011-08-09 13:53) 

YASH

★MORIHANAさん
でもあのベッドでお腹が痛かったり熱があったりで身動きできなかったら、
相当ツライでしょうね。
たった4日で済んでよかったです。

大して痛くもないし、けっこう平気じゃん、なんて思ってたら、
やっぱり階段が駄目でした。
これからですね。

★e-g-gさん
この頃は暑いさなかにダイナミックに動こうとも思ってないんで、
ちっとも辛くないですよ。
むしろ息を潜めてるくらいで(笑)
動き出すのは秋風が吹く頃、ですね。

★SerowGOGOGOさん
ありがとうございます。
まあ、正味3日ですからね。
あと、退屈でも院内にいた方が涼しくてよかったです。

★HIROさん
ありがとうございます。
私もバイクで大きなケガはないんですが、
こういう事になるとは思いませんでした。
バイクでだけはこうならないようにしないと。

★pittsさん
内視鏡って食道や胃のイメージがあったんですが、
外科の世界はこうなってたんですね。
自分の膝の中を見られたのは、ちょっと収穫かも。

家の中は右足かばいつつ歩けるんですけど、
外階段が困ります。
家、3階なんですよね…。
by YASH (2011-08-09 21:06) 

YASH

★FTドルフィンさん
歩くのにちょっと不自由なの以外は、
普通に過ごしてますよ。
もっぱら読書と椅子に掛けての筋トレが
日課の毎日です。
でも、退屈…。

★takさん
ありがとうございます。
ヤマハも給湯器とか作ってますね。

>大文字のKAWASAKI
そういう話が通じるのはPOPさんくらいかと。

★うえいぱうわさん
あとは、自分のケアが大きいでしょうから、
筋トレやストレッチなど、きちんとしていかないと、ですね。
とりあえず今月中は、回復優先の予定です。

★あらら、単二さんも経験済みでしたか。
脊髄注射は事前に位置を出して、麻酔のための麻酔をするようです。
おかげで痛くはないんだけど、髄液が漏れて骨髄圧というのが下がる
ことがあるそうで、それが後の頭痛の原因だとか。
単二さんは平気でした?

塩尻での件は残念でしたね。
山が色付く頃には復活してるはずなので、その頃にぜひb

★McCoyさん
ありがとうございます。
いやー、けっこう無理に寝返ったりしてたんですが、
それでも腰は痛かったです。
私の腰に肉がないってのもあるんですけど、
次に入院するなら、低反発のマットは必須かと。

秋の湯治ツーという目標もあることだし、
それに向かってがんばります。
一泊ですから、予定しといてくださいねb

by YASH (2011-08-09 21:47) 

カズ−

入院した時だけでなく、体や心が弱っていたりすると、なにか
自分がすっごく弱い存在に思えて心も体もしぼんだような気
になることがありますね。
じっくりと治療してください。お大事に。
by カズ− (2011-08-09 22:40) 

なおネィ

2日の日は、YASHさんに念を送らなきゃ…といって乾杯しました。^^/

内心、不安があったと思うけれど、淡々と終わった感じ?
ひとまず無事退院でよかったですねぇ。

リハビリって聞くだけで痛そうなんだけど
ここは男のヒトらしくグッと我慢でがんばって。
歩きもバイクもオシゴトも、またがっつりイケますね。
by なおネィ (2011-08-10 15:52) 

YASH

★カズーさん
そうですね。
普段当たり前にしていることでも、
いろんな人の助けを借りないとできなかったりで。
つくづく健康と、仕事とはいえフォローしてくれる人達の
ありがたさを感じてきました。

★なおネィさん
病院の早い夕飯の後、そこはかとなくいい匂いが
漂ってきたのは気のせいじゃなかったようで(笑)
受け取りましたともb

いまだ不安がないと言えば嘘になるんだけど、
とにかく何もしないよりはいい方に進めたと信じてます。
まだまだやる事がいっぱいありますからね。
by YASH (2011-08-10 16:53) 

バク

手術が無事終わって退院されたとのこと。
お疲れ様でした。
入院して、手術して、誰かの世話になるといろいろ考えたりします。
私もこの数年、そんなことを3度も繰り返したけど、その術後の不安やなんかは山ほどあって、でも、日常の生活に戻ればそんな不安も薄れていくってことに気づいたら、毎日の当たり前のことがとてもありがたいものだ~なんて思ったりもしました。
焦らず、いつもの生活の中で、自分の体の力(自然治癒)で治療&リハビリに取り組んでいってくださいね。
by バク (2011-08-10 17:25) 

YASH

★バクさん
ありがとうございます。
たった3、4日でしたが、体の事や生活や仕事や、
普段忘れているような事を考えるきっかけにもなりました。
健康って水や空気みたいに当たり前の事だと思いがちですけど、
今この瞬間も同じベッドで天井を見ている人がいる訳で、
普通に動けるだけで幸せなんだなぁ、なんてね。

これからは、運転はもちろん、今まで気に掛けてなかった体のケアにも
目を向けていかなきゃ、なんて思ってます。

by YASH (2011-08-10 20:54) 

harry

>普通に動けるだけでも幸せなんだなぁ...
うん、自分も入院した時に感じたのはそれだったかも。
世の中にはいろいろな制約のある中で生きている人も多いですものね。

少し前に入院した時に、この先は「自分のしたいこと」も大事だけど
何より妻と楽しく暮らすことを一番に考えようと思ったのです。
なかなか貴重な数日間だったような気がしますね、今でも。
by harry (2011-08-11 23:06) 

YASH

★harryさん
誰だって生きる上での制約はあるんだろうけど、
体の機能がまともなら、とりあえずそれだけで文句は言えないですよ。
まだ階段が危ないんだけど、松葉杖無しで昇り降りできるだけで
うれしくなっちゃいます。

やっぱりなんでも健康があってこそ、ですね。
バイクでもますます怪我できないと思ったでしょ(笑)
大切な人の為ってことは、結局自分の為でもあるしね。
お互い大事に使いましょう。

by YASH (2011-08-12 23:38) 

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