さてさて、ちょっと経ってしまったけれども北海のお話を。
久しぶりの、本当に久しぶりのロングツーリングになった今回の旅。
フェリーで苫小牧に着いてからの行程は、富良野-天塩-礼文-浜頓別―女満別-別海-帯広-安平-函館。
前半はソロ、女満別空港から妻も合流して、そこからはタンデムで道内9泊10日。
けっこう走りましたよ。
これを元にブログを書こう!と意気込んで珍しく日記を付けていたんだけれど、
それやってると当分北海道編が続いてしまう…、と気が付いて、例によってさらっとまとめる事にしました。
最初は道について。
と、こんな写真で始めてみるけれども、ほぼ毎回雨の風情も楽しむ事になっている我々は、
今回も例外ではなく。
前夜の予報では、harryさんと落ち合う諏訪湖PA辺りは小雨かも…?という
感じだったのだが、家を出る時から170km先の諏訪湖まで、雨装備の具合を試すような
雨が続く(笑)。
中央道双葉Jctから中部横断道で南下しても雨。
rascalさんと合流する本栖湖まで来てもやはり雨。
せっかく正面に富士山がどどんと拝める場所を選んでも、辺り一面雲で真っ白では意味がない。
カメラを出すこともなく、とっとと先に進もうと走り出した。
最初に寄ったのは朝霧高原の道の駅の先にある、あさぎりフードパーク。
干し芋や芋けんぴの専門店があるので、寄って行こうという事になっていたのだ。
なんだか嗜好がおっさんを通り越してじいちゃんみたいだが、
昔ながらの加工食品のシンプルな美味さは、やはりいいなと思ってしまう。
昼はharryさんのリクエストで富士宮焼きそばを。
rascalさんお気に入りの店で、自分はしぐれ焼きという広島焼き的なものを頼んだ。
民家の引き戸を開けると土間があり、そこに鉄板を囲んだ椅子が並んでいる、というのは
以前、瀬戸内で寄った日生のカキオコの店に雰囲気がそっくり。
もともと焼きそばやお好み焼きは、こういう場所で食べるものだったのかもしれない。
午後になると雨間が出てきたものの、この日はどうやら雨雲の動きに合わせて移動していたらしい。
雨具のまま寄り道しても…と、このまま早めに宿に向うことになった。
一旦東名に乗り、伊豆縦貫道―伊豆中央道と繋いで修善寺を抜け、戸田へ。
どこか海の近さが感じ取れる住宅地の、こぢんまりとした漁師宿が今回の宿だった。
夕食は心尽くしの海の幸、といった品々がテーブルいっぱいに並んだ。
そしてこの辺りならではのタカアシガニが。
rascalさんはカニが冷めていたのが残念…と書いていたけれど、
私は初タカアシガニだった事もあって、それなりに楽しめたな。
他にも地物なのかあまり見かけない姿の、エビのお造りはさすがの美味しさ。
満ち足りた気分で部屋に戻り、旅先の夜を満喫したのだった。
***
翌日にはすっかり雨も上がっていた。
11月とは思えない暖かな朝で、ミラーにかけておいたカッパも早々に乾いていた。
今日はいい天気になりそうだ。
朝食はありがちな温泉卵や味付け海苔ではなく、魚介の小鉢でご飯が進む。
味噌汁は豪快に海老が出汁に使われていて、海辺ならではの味わいだった。
さあ、行きますか。
雨上がりの風が朝靄をすっかり吹き飛ばし、やけに景色がくっきり見える中を走り出す。
入り江の向こうは大瀬崎。
現地では雲だとばかり思ってたけど、ここではかろうじて富士山が頭を出してたんだね。
気が付かなかった!
中央道で東西へ分かれるharryさん・rascalさんは、昨日と概ね同じルートを
逆に取る事になるけれども、愛知へ帰る自分は単純に沼津辺りから、東名か新東名に乗るのが
一番手っ取り早い。
でもそれではいきなり単調な帰り道になってしまうし、どうせならどこかで紅葉でも見たいよねと、
結局自分も北回りの中央道ルートで帰る事に。
昨日に続いての朝霧高原で昼食を取った後、今度は精進湖に寄ってみた。
内陸に進むにつれ、朝のうちの陽射しに満ちた明るさから、雲が低く寒々しい空になっていた。
空気はひんやりとして、辺りは晩秋のような色合い。
でもそんな風景をオートバイに乗って見たいから、自分はここにいる。
湖畔の紅葉を見上げて、最近忘れそうになっていた何かを思い出したような気がした。
R358からの分岐で東に向かうrascalさんと別れた後は、甲府南から中央道へ。
往路とは逆側の諏訪湖PAに入る頃にはそろそろ日没の気配が。
じゃあまた来年、とharryさんを見送った後、いつもより入念にストレッチをしてから
走り出した。
***
そんな今年の秋ツーリングだったのだが、一番記憶に残ったのは実は雨でも紅葉でもなく、
終盤の肩凝りから来る頭痛(笑)。
もともと肩凝りには縁のない体質で、それがどういう感覚だか分からないくらいだったのだけれど、
ここ数年で体質が変わったのか、時々凝りとそれに伴う頭痛に悩まされるようになってきた。
オートバイに乗る乗らないには関わらず、時には朝の寝起きから肩がこわばり、頭痛がしている事も。
寝てる時は弛緩してるもんだとばかり思っていたのに、なにを無駄に力んでいるんだか。
今回も朝、少し予兆じみたものがあったと思ったら後半けっこう辛くなって、
諏訪湖ではこの状態でまだ170km… などと思ってしまったのだが、
そこからなんとか持ち直して、ソロの帰り道はそれほどでもなかったのが幸いだった。
これは年齢もさることながら、オートバイに長時間乗る頻度が減って、
無意識のうちに保ってきたライダーとしての基礎体力が落ちているのもあるんだろうな。
ツーリングの度にこんなだったら、オートバイは楽しい、なんてとても言ってられないけど、
幸いまだそうでもない。
でも、できるだけ長くそう言ってられるように、考える時期が来たのかもしれない。
なんてね。
世間様のお盆休みよりだいぶ遅いけれども、やっと我が家も一息付くことにした。
頑張ったご褒美は久しぶりの温泉と、美味しいご飯にしよう、そうしよう。
と、妻にも連休を取ってもらって出かけたのは蓼科湖の畔。
当日は雨でもあったし、気合を入れて行くほどの距離でもないので、
朝はゆっくりして遅めの出発。
午後から回復の予報のわりには、小雨の続く中央道を北へ進んだ。
諏訪南で降りて、もしかして待っていたら夕焼けが見えるかも?と、霧ヶ峰へ上ってみたが、
高原はまだ霧が流れていて、それどころではない様子。
陽射しがあればススキの穂が光ってきれいな池のくるみも、今日は湿った冷たい空気に包まれて、
寒々しい。
それでもしばらくすると、雲の切れ間から日が差して、辺りがさっと明るくなったりする事も。
この分だと明日の天気は大丈夫そうだ。
そんな事を話しながらビーナスラインを下った。
蓼科湖の入り口辺りはかなり俗っぽくて、そこだけ見るとあまり泊まりたくなるような
気にならないけれど、対岸は2,3軒の小さな宿とキャンプ場があるだけの静かな場所で、
そんな中に今回の宿はあった。
部屋に荷物を下ろすと、暗くなる前に散歩に出てみた。
山あいの湖畔の夕暮れは、上着を羽織っていても空気の冷たさを感じて、
今年の夏の暑さがなにかを勘違いしていたように思えてくるほど。
山はもうすっかり秋なのだ。
この「蓼の花」という宿は、元々の建物自体はかなり年季が入っているようだったが、
部屋の壁や畳はちゃんと手が入れられていて、古びた印象はさほど感じなかった。
それに加えて食堂部分は、現代的で落ち着いた雰囲気にしつらえてあった。
地元の鱒のお造りに添えられたのは鱒の卵、そして馬刺し。
今年はきのこの出来が良いそうで、近くで採れたものが何種類も食材に使われていたのも印象的。
静かな口調の御主人が名前を教えてくれるのに、聞いてもすぐ忘れてしまうのが残念。
岩魚の塩焼きの奥にあるのは、なつめの実。
林檎みたいな味がすると聞いたので齧ってみると、本当にそんな風味で、
ドライフルーツのなつめとはずいぶん違うのが新鮮だった。
〆の釜飯はそれぞれがテーブルで炊き上げるもので、これも土地の茸が。
どれも丁寧な仕事を感じさせる料理で、夕食はとても楽しめた。
そんな食事の後は温泉で、やっと夏から溜まったあれこれを流して
床に就いたのだった。
連休っていいな。
***
翌朝は雲一つない青空。
たぶん一番きれいに日が当たる席で、昨夜と同じくきちんと作られた朝食を取った後は
再び散歩に。
薄暗かった昨日は気付かなかったが、所々でもう、紅葉が始まっている。
オートバイで来るなら早々に防寒の用意も要りそうだ
さて二日目はまず、御射鹿池に行くつもりだったけれども、宿のご主人の勧めもあって、
北八ヶ岳ロープウェイで坪庭へ登ってみる事にした。
考えてみれば、滅多にないような好天の朝からここにいるような事もそうあるものじゃないしね。
御射鹿池はまた、ツーリングの寄り道先にでもしよう。
という訳で行き当たりばったりにもほどがあるが、予備の服まで着こんで乗り場まで行ってみると、
標高2240mの坪庭は現在4℃の表示が…。
うーむ、ちょっとナメてたか。
と、お土産売り場に並ぶモンベルのフリースを試着してみたりもしたけれど、
どうせ買うならモンベルショップでちゃんと考えて買いたいし、雲もかかってないから
この陽射しなら…と、2人共ネックウォーマーだけ買う事にして、ロープウェイに乗り込んだ。
で、結果的には高地特有の冷たい風はあったものの、陽射しのおかげで寒さに震える事もなく、
むしろ岩場の散策路を上っているうちにどんどん体が温かくなってきたほど。
こういう景色も久しぶりだなーと、思いがけないパノラマを満喫したのだった。
その後はエコーラインに出て寄り道しながら南へ。
この道を行く時は、どういう訳かいつも青空の下のような気がして嬉しいが、
この日もやはりどこを眺めてもご機嫌な道程だった。
平日はいいな(笑)。
最後はこれも宿で気が付いた八ヶ岳アウトレットを見に行って、ちょっと散財。
そんな遅いお盆休みでした。
さて、次の連休はいつかな。