雨の音、日なたの匂い。 [Ride]
二段ベッドの上段で目覚める前から耳に入っていた、波打つように響く音。
ファンヒーターの音ではないし、車の流れとも違う。
そんなものが聞こえるほどの道路は近くには無い事を、寝ぼけた頭が思い出した。
起きて外を覗いたら、激しい雨が屋根を叩く音だった。
雪の多いこの辺りは鋼板葺きの屋根がほとんど。瓦屋根より雨の音が響くのだ。
声を掛けなくてもなんとなく食堂に皆集まって、トーストしたりお茶を淹れたりして朝食。
食堂から外を見れば、立樋の外れた軒樋からは盛大に雨水が落ちている。かなりの大降りだ。
しかも時々強い風が吹いている。
あらら、昨日バイクの横に掛けておいたカッパが落ちちゃってるよ。
それでも後片付けしてからしばらく待たせてもらったら、やがて小降りになってきた。
雲の動きは早いようで、雨模様の空にも明るさが増している。
じゃ、出発しますか。
R19を少し上ったところから県道26へ入り、奈川方面へ。
途中、上から見たらどんな眺めか気になったダムへ寄り道してみた。
見下ろす町並みは薮原だろうか。
木曽路はすべて山の中っていうのは本当だ。当たり前だけど。
それにしても右手の真っ平な緑が違和感有り過ぎ。
ここを削り取った膨大な土砂はどこへ行ったのだろう。
やがて雨が止み、どんどん明るくなってきた。
もともと雨だと思って出てきているから、こんなに回復が早いと嬉しくなってしまう。
適度にカーブの続く雨上がりの山道は、ほぼ貸切りで気持ちがいい。
R158と合流した後は、乗鞍を越えてきた四輪やバスに続く事になる。
のろのろと進むのに疲れ始めた頃、見つけた鮮やかな紅葉の下で一息。
ここまで来るとすっかり青空、陽射しがまぶしい。
朝の大雨が別の日の出来事のようだ。
今回、こんな明るい空の下で鮮やかな紅葉に出会えるとは思ってなかったな。
それぞれ思い思いに愛車と絡めた写真を撮り、すっかり満足な気分に。
気温も上がってきたので、中綿入りから普通の革グローブに変えてふもとを目指す。
松本へ入る手前で、harryさんお気に入りの蕎麦屋で昼を食べる。
少し遅めの時間だったので、すぐ席に着くことができたのは良かった。
昨日みたいなこだわりの蕎麦もいいけれど、町の蕎麦屋といったこういう店で食べるのはほっとできる。
うどんもうまいんだよ、というharryさんと、蕎麦とうどんを取って分けて食べることにした。
かき揚げと野菜の天ぷらも頼んで、みんなで分けながら。
ソロはソロで楽しいけれど、食事だけは一人よりテーブルを挟む相手がいた方がいい。
こういう食事はいいな。
***
こうして今回の旅はおしまい。
じゃ、また来年、なんて言いながら分かれて、それぞれの方向へ。
それぞれが数百キロずつ離れ、仕事と家庭を持って暮らしているので頻繁に会える訳ではないけれど、
いつ会っても久しぶりという感じがしない。
そんな不思議な距離感がいいな、なんてひとりの帰り道はいつも思うのだ。
今回は余裕があってゆったりできました。
冬用ジャケットの上から雨具着たので、なんだかパンパンだなぁ(笑
味噌川ダムから見た造成地、気がつかなかったけど異様ですね、ほんとに。
最後の晴れ間でさらにいい気分になりました。
家に帰ってからの一瞬の昼寝が最高に気持ちよかったですよ。
by harry (2009-11-23 07:39)
こんにちは。
珠に余裕の大人の旅も良いですね。
雨は、大変だけど、雨が上がって晴れて来るという感覚もバイクならでは(笑)
by HIRO (2009-11-26 19:50)