正直 めんどい [仕事]
無垢のフローリングはいいものだ。
芯材が合板のフロアー材がいくら抗菌だキャスター対応だ等と付加機能でがんばっても、居室に使うなら無垢材の床の風合いや暖かみにはかなわない。自分の家を建てるとしても、できる限り洋間の床は無垢を使いたいと思う。
ただ、良い事ばかりかというとそうでもない。特に施工する者にとっては。
木材というのは湿度に応じて水分を吸収・発散する。天然のエアコンと言われる由縁である。ということは自らが膨張・収縮するということだ。それを考えずに無垢のフローリングをきっちりくっつけて貼っていくとどうなるか?
関東間の8帖間を巾90ミリのフローリングで貼るとして、39列と少し。39列として3510ミリとしよう。貼ってから湿気を吸って、1枚当たり巾がコンマ2ミリ膨張したとすると、90.2×39で3517.8。床全体が8ミリ近く広がる訳でその分はどうなるかというと、釘と接着剤を引き剥がして上へ突き上げ、ジョイントがへの字にふくらんでしまうのだ。
また、突き上げまでは行かなくても、膨張・収縮による床鳴りが多いのも無垢の特徴のひとつだ。
それを見越して貼る時点であらかじめ逃げを作っておく。
こんな風に1枚貼るごとに、縦横のジョイントにスペーサーを噛ませて貼っていく。ハガキの厚み程度の隙間が逃げのスペースになるのだ。
他にも気を使う点はあるのだが、一番解りやすいのは一枚当たりの面積の差かもしれない。
塗装が掛かっているのがフロアー合板、上に載っているのが無垢である。初めから塗装済みのを使う場合が多いが、今回は無塗装の物を貼って、後から塗装を掛ける。どちらにせよ大きさはこれくらい。一枚貼ってどれだけ先に進めるかは一目瞭然。
そんな訳でなかなか手間のかかる仕事なのだが、仕上がりの美しさをみると少しは報われる気もするような。
なにより、近頃のナニカの繊維を圧縮したような新建材を相手にしているよりずっと気分がいい。
☆ ☆ ☆
それに端材を持って帰って、こんなイタズラもできる。今使っているのは楢だけど、これは花梨のフローリングから削り出した。
どうでもいいようなことほど、結構マメだったりする。
それをもっと仕事に向けたらどうだ! というツッコミは、無しに(笑)
無垢のフローリングですか、いいですね!
湿度変化を考慮しての施行は匠の技ですね!
塗装じゃなくて、オイルで仕上げたりすると
良い感じになるのでしょうか?床には不向きですかね・・・
端材の削りものも素晴らしい!!
by FTドルフィン (2006-01-12 22:03)
以前に家具屋をやっていたので、なんだか懐かしい感じがしました。
無垢の材の特質を考えてものを造るのは大変なことですけど、できたものはやっぱり素敵ですね。
家具屋時代はオンボロ車に道具を積んで、お客さんの家の棚の抽斗を鉋で削って調整...なんてことをよくやってました(笑
by harry (2006-01-13 01:50)
うわぁ、花梨のフローリングで作ったアクセサリー、素敵です!
by ちえちえ (2006-01-13 13:07)
>FTドルフィンさん
匠の技なんてとんでもない!
後から材料に「ものを言わせない」為にやってるだけで、この程度では、昔の親方衆の仕事の足元にも及びません。
仕上げの塗装にはペンキのように膜を作るものの他に、オイルのように素材に吸わせて色を付ける物もあります。どちらにしろその工程の頃には、私は次の現場に移っているだろうから、見られないのが残念ですね。
>hurryさん
いろんなことやってたんですねー!?
私も古い家に仕事に行くと、ついでに建具や抽斗、まな板なんかを削って直すのを頼まれることがあります。
本業よりそっちのほうが喜ばれたりして(^^;
>ちえちえさん
こんなのをコソコソ作って暮らしていけたらなあ、なんて時々思いますが、たまに道楽で作るから楽しいんでしょうねぇ。
by YASH (2006-01-13 21:08)
フローリングを? ご自分で張られるのですか?
本格的なDIYですねー。
ウチの近くのDIY店にもフローリング材が売られて
いるのを見かけますが、ああいうのってプロが買って
行くのかな、と思っていました。
by kokudoh (2006-01-14 20:11)
やっぱり木っていいなあ。
by かめむし (2006-01-14 22:03)
>takさん
あの、一応 これで食べてます。
よろしければ、カテゴリーの「仕事」をご覧下さい(^^;
>かめむしさん
今は品質が安定していて、手入れが楽な新建材が主流ですが、触ってて気持ちいいのはやっぱり本物の木材ですね。
by YASH (2006-01-14 22:18)