6月ももう終わり。
月初めにいきなり33~35℃なんて、笑えない数日があったものの、
さすがにそれは続くことがなくて。
曇りがちの空が続き、多少梅雨らしさを感じるこの頃。
日中は晴れていればそれなりに暑いけれども、まだ夜風は十分涼しくて、
夜はぐっすり眠れるのがなにより有難い。
元々夏ってこれくらいだったような気もするが、せめてもうひと月くらいは
これくらいで過ぎて欲しい。
どこからか、覚悟はいいか? と声が聞こえてくるような気もするが…。
という話とは全然繋がらないが、久しぶりにバイクいじり用の工具を買った。
中型時代から使っていたブレーキキャリパーピストンプライヤーが、いつのまにか工具から消えていた。
こんな使い回しの効かないものをどうしたのか分からないが、
実家の車庫か作業場のどこかに置き忘れたまま失くしたらしい。
それほど頻繁に使う道具でもないし、今の二台になってからはピストンの固着とも縁がなくなったが、
自分でブレーキ周りもやるならあった方がいいには違いない。
やっぱりもう一回買うかと思い立ち、プロユースの物じゃなくていいから
適当なのはないかとネットで探してみた。
それがこれ。
手元に来て気が付いたが、バイクに使うにはやや大き目だった。
グローブはLサイズの自分でも少し手に余るくらいだから、手の小さい人や女性はきっと使いにくいだろう。
握っていくとラチェット式にロックが掛かって、ピストンを捕まえた状態で止められる、という
仕掛け付きの割には、送料を入れても1500円を切っていた。
当然中国製で、パッケージは英語だったからたぶん世界中で売られているものなんだろう。
仕事の道具なら、こういう物には手を出さない。
目的が形になったような道具の場合、付けられている値段には理由がある。
例え消耗品でも最低これくらいは出さないと使い物にならない、というのが経験則で分かっているからだ。
けれども趣味で年に2,3回使う程度なら、とりあえず用が足せるものから始めてもいい、とも思う。
いきなりあっさり壊れてしまうのは論外だが、安物でも「ない」と「ある」とでは、できる事が全然違う。
感触はどうかと言えば、まあそれなり、というところか。
写真でもわかるように、角度によっては先端が当たってしまう事があるのに気が付いた。
4輪のキャリパーなら問題ないと思うが、バイク用とするなら余分な所はサンダーで
削り落とした方が良さそうだ。
こういう部分は容赦なく加工してしまおう。
あとロックが掛かるのも便利なんだかどうなんだか。
固着した4輪のキャリパーなら力技も要るだろうが、これもなくていいような。
というか物自体の大きさからして、 元々バイクのコンパクトなキャリパーに使うのは
考えられていないのだと思う。
まあ値段が値段だし、とりあえず使えることは判ったのだからいいのだけれども。
フロントのパッドの状態を確認しつつ、ちょっと久しぶりにキャリパーを洗った。
押し出したピストンを新しい工具を使って回しながら、古歯ブラシでブレーキダストを洗い落とす。
エアで吹いて水気を飛ばしたらごく薄くシリコングリスを塗って押し込み、何度か揉んでおく。
若い頃、バイクいじりの参考にしていた本のブレーキ特集で、NISSINの広報が
ピストンは特に潤滑しなくても問題なく動作する設計がなされている、という内容の
コメントを載せていたのを覚えている。
それはピストンの動きとシールの役目を理解していれば、確かに、と頷ける。
もちろん錆びたり、ひどく汚れたりしていなければ、が前提。
それにキャリパーのメーカーとして、そもそも最重要とも言える保安部品に
やたらと変なものをぶっかけられては困る、という配慮もあるのだろう。
ただ、シールを侵さない油脂で、ダストの付着も考慮した作業なら悪いことではないし、
タッチの向上にも貢献するというのが編集側の意見だった。
なるほど、と思った私はそれを実践してみて、ブレーキレバーを握る度に
ほんの少し気持ちよさを感じるようになった。
別にそんな事は自分でしなくても何も困らない。
気になるなら車検のときにでも頼んでおけばいいような事、と客観的には思ったりもする。
けれどもメカニズムの面白さとか、部品の形状や材質の理由は、自分で手掛けて気が付く事が多い。
普段何気なく操作しているレバーやペダルは、この部品、この仕組みを通して別の力に置き換えられ、
その結果車体にはこんな変化が起きる。
そういう事を想像するには、見て触ったことのある範囲が広い方がいい。
私がオートバイに手を掛けるのは結局、どこがどんなカタチをしていて、どんなふうに動いているのか知りたい。
そんな素朴な理由に過ぎない。
さて33725kmを経過したフロントのパッドはこんな感じ。
パッド交換はもう少し先でいいかな。
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この春から諸々替えて時々走って、ブレーキ周りもすっきりした帰り道は、快調そのもの。
TDMはいつもたいてい調子がいいが、普段以上にご機嫌な様子。
いつも機嫌良く健康で、こんな風に生きて行きたい。