手術した右膝は日常、ほとんどそれを意識する事はなくなっていて、
特定の動きや負荷に対して警戒する必要も今はない。
トップアスリートじゃあるまいし専属トレーナーが付いている訳でもなし、
ここまで回復できれば充分成功だったと思っている。
それより今は時々感じる左膝の違和感が気になるのだけれども、
現状、山を歩くのに対して自分の体がどうなっているのか、知りたくなっていた。
そこで途中のリタイヤも考えて手近な、それでもそこそこの標高と山頂の雰囲気が感じられそうな山を探して、
木曽御岳の南の、白草山へ行ってみた。
梅雨の晴れ間とはいえ、日中はもうかなり暑い。
白草山の標高は1641mで、山頂付近まで登ればそれなりに涼しいのは予想できるが、
早出早着に越したことはないだろうと4時起床。
前日までの雨は上がって、快晴の夜明けだった。
ここは登山口付近の広げてある路肩に駐車する事になっていて、時期と時間によってはかなり混雑するらしい。
この日3台目だった我々も、先行を見習って石の車輪留めをして歩き出した。
県道に面した車両止めのゲートを過ぎると、ダートの林道のアプローチが30分ほど続いて、
小さな沢に掛かる丸太橋が見えたらそこが登山口。
あたりは冷たい水の匂いがして、深呼吸したくなる。
山頂まではここからたかだか2.7km。
登山ガイド等には難易度★の、ファミリー向けの山とあるが、
実際はそれなりに足元を整えて来た方がいい所。
リアル山ガールは別として、ここへ彼女をハイキングのつもりで誘ったらたぶん嫌われそうだ。
沢筋を離れると、時々視界の広がる樹林帯の中を登る。
岩交じりの踏み跡がずっとぬかるんでいたのは、前日の雨のせいだろうか。
小休止を交えて二時間ほど登ると、やがて視界の開けた山頂台地へ出た。
写真は分岐した先の箱岩山方面。
草原のように見えるのは笹で、見晴らしはいいが日陰が少なくなるので真夏は暑そうだ。
そんな笹の中を進んでいくと、やがて広場のような山頂へ。
どどーんとそびえるはずの御岳は、いつの間にか雲に隠れてしまっていた。
残念…。
とはいえ空の事は文句を言っても仕方ないし、逆に快晴のままだったら日陰を求めてさ迷いそうだ。
笹の原っぱの前で昼食としよう。
周りを見て思ったけれど、ここは晩秋からの季節も良さそうだ。
このあたりなら真冬でもそれほど雪は降らないから、冬山の装備までは要らなさそう。
開けているから風が強いと寒いだろうけど、こんなところで飲むコーヒーは旨かろう。
冬晴れを狙って来てみたい。
周りを飛ぶ羽虫を追いながらそんなことを思った。
下りは少し早くて、汗をかきながら1時間半ほどで沢の丸太橋へ。
顔を拭こうと水際に下りて、タオルを浸した水の冷たい事!
本当に手が漬けていられないくらいで、どうしてこんな冷たさのまま流れてくるのか不思議なくらい。
そんな水を浸した濡れタオルが、気持ち良くない訳もなく。
さて膝の調子はといえば、以前のような痛みはまったく出なくて一安心。
時々違和感のある左膝も、山を歩く動きでは特に痛みが出るという事はなかった。
が、これは早めに一度診てもらって対処を考えようと思っている。
とりあえず、少しずつでもまた山に向かえそうで、ホッとしたのだった。
地道に筋トレもしないとね。
***
そうそう、今回からトレッキングポールを使うようにしてみたら、もう膝の負担は激減と言ってもいいくらい。
特に岩場の下りでは、先にポールでサポートしてから足を運ぶのがこんなに楽だとは思わなかった。
もう絶対手放せない道具になるだろう。
そんなポールも、アプローチのような平坦な道では無い方が身軽。
加えて手を使う岩場や鎖場では、両手を自由にしておかないとかえって危ない。
そういう時はパックパックに付けておけるようになっていて、
妻のドイターはこんな風に納まるようになっている。
自分のオスプレイも同様な装備を持つけれど、これを自分でやろうとするとバックパックを一度降ろす事になる。
それを狭く、別の登山者が絶えず行き交うルート上でするには、現実的に難しい場合もある。
という状況を想定してか、ショルダーストラップとザック本体のループに
引っ掛けておく事もできるのに今回気が付いた。
脇差的というか、混んだバスやロープウェイ乗り場でこんな状態なのは単なる迷惑な奴だが、
ルート上でちょいと手を自由にしたいときはなかなか具合がいい。
なんて事にも気付いたりして、ちょっとうれしかったのだ。