むやみに男臭くも油臭くも、加齢臭もガキ臭くもなく、
どちらかといえばファッション寄りとはいえそれほどナンパでもない、
バイク雑誌としては絶妙な立ち位置にあったMOTO NAVI。
先だっての休刊のお知らせから一転して、それを覆す方向へ進んだのは、
けっして愛読者ではなかった自分としても「よかったなぁ」と思う事しきり。
このところのバイクを取り巻く環境って、大型ユーザーが増えたり魅力的なニューモデルが出る一方で、
以前にはなかった妙な息苦しさやゆとりの無さを感じることも多いのは自分だけだろうか。
そんな中でもページをめくった人がバイクに乗ってみたくなったり、そろそろやめようと思ったけど
もう少し乗っていようと思えるような雑誌になって生き続けてくれたなら、と思う。
この文章を読んだから、この写真を見たからオートバイに乗る今の自分がある、なんて事は
本や雑誌やプリントされた写真など、手で触れられる物からであることが多い。
ネットに溢れる記事や写真からは、そういう「力」はあまり感じられないものだ。
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さて、「もういちど、オートバイと暮らす。」と言われて読むうちに、なんとなく自分も考えた事がある。
自分は幸いな事に免許の取れる年になってからというもの、ずっと暮らしの中にバイクがあって、
もういちど、と思った事はないのだが、あとどれくらい、あと何台のオートバイと暮らせるのかと
ふと思ってしまった。
若い頃は時間なんていくらでもあって、ずっと当たり前のように乗っていられる気がしていたけれど、
そんなことは若さゆえの幻想に過ぎない。
まだ先はあるとはいえ、無駄にできるほどは残っていないと、そろそろ気が付くべきだろう。
どんなバイクに乗りたいか。
どこへ行きたいか。
何をしたいか、見たいか。
誰とそれを共有したいか。
予定めいたものを立てる気はないし、そんなものの通りに行かないのは分かっている。
でも方向くらい考えておいても悪い事はないはず。
別に焦っているつもりはないが、思い切って行く事、する事、あるいは切り捨てる事、
そんなのも含めて少し考えてみる気でいる。
あとで後悔はしたくないもんね。