ソロのツーリング先では、写真を撮るためにかなり頻繁に停まる。引っ掛かるものがあるとUターンもする。
自分でも何やってんだかと、時々思う。そんなことしなけりゃ、もっと足を延ばせるのに。
ソロのツーリング先では、写真を撮るためにかなり頻繁に停まる。引っ掛かるものがあるとUターンもする。
自分でも何やってんだかと、時々思う。そんなことしなけりゃ、もっと足を延ばせるのに。
原付少年の頃からオートバイ知らない場所へ行くときは、たいていカメラも一緒だった。もともとは山歩きに持って行きたくて手に入れたカメラだけど、興味がバイクへと移ってもイメージを残す楽しさに変わりはない。オートバイそのものを撮ったもの、情景の一部としてオートバイを入れたものの他に、普段何気なく見ているバイク乗りの視点みたいなのもずいぶん残っている。
乗らない人が見たら首を傾げるようなシーンでも、そういう写真こそ何年経っても、忘れたくない匂いをかすかに漂わせてくれたりする。
そんな一枚を増やせたらと、今度出掛けたときもウインカーを出すだろう。
***
光、影、雲。
様々な場所と季節の匂い。
刺すような陽射し。肌を撫でる風。痛みさえ伴う寒気。
メットを叩く雨。濡れては乾く水しぶきの跡。
エンジンを切った途端、耳に飛び込む音、あるいは静寂。
きっともう、会うことはない人と話した事。
***
オートバイを選んだ者として、オートバイが見せてくれたシーンは、なるべくリアルに憶えていたい。できればその場の空気と、気持ちも一緒に焼き付けて。
普段は心の奥で閉めたままになっている記憶の引き出し。
その引き出しを開ける取っ手とするために、私は写真を撮る。