バイクの楽しさと排気量の大きさは全然比例しない。
しみじみそう思うようになったのは大型に乗るようになってからだけど、普段は大きなバイクで現れる仲間たちも
今回はあえて小さい方で楽しもうということにして、静岡の山の中に集まった。
バイクの楽しさと排気量の大きさは全然比例しない。
しみじみそう思うようになったのは大型に乗るようになってからだけど、普段は大きなバイクで現れる仲間たちも
今回はあえて小さい方で楽しもうということにして、静岡の山の中に集まった。
ラスカルさん・ねこにんさん、harryさんと里崎さんの関東組と合流するのは掛川から山へ入ったところにある、温泉やコテージなどもあるキャンプ場。
考えてみれば初日の出を見に行く辺りと距離的にはさほど変わらず、東名でTDMなら3時間もかからないのだが、Dトラッカーで高速を走っても面白いとは言えないので、ずっと下道の山越えで行くことにする。
土曜の朝、ゆっくりと身支度してから出発。
いったん北へ上がって恵那の手前からR257に入り、上矢作からR418でひたすら山あいを東へ。
R152へ出たらヒョー越で静岡側へ抜け、山道を繋いで掛川へ向かうルートだ。
霞がかかったような春らしい晴天だが、山の中だからか走っているとけっこう寒い。
街では桜もすっかり散ってしまったけれど、やっと梅が咲きかけたような場所も。
こりゃ寒いわけだと夜用に持ってきたダウンのインナーを着込み、レッグウォーマーまで着けてやっとちょうど良くなる。
そろそろ昼に、と思っても小さな集落を繋ぐ道沿いにはなかなかそれらしい店もなかったが、田んぼの中のあぜ道に蕎麦ののぼりが立っているのを見つけたので向かってみた。
だんだん心細くなってきた頃にようやく辿り着いたのは、農家の座敷にテーブルや炬燵をいくつも並べたような店。
でも蕎麦は正解。付け合せの漬物もおいしい。
こういうのがちゃんとしている店は、たいていハズレはないような気がする。
***
さて体も温まった事だしと走り出し、R151を越えたところで、すぐにR418通行止めの標識。
しかたなくいったん北上して迂回し、なんとか元のルートに戻ったものの、その後も崩落だの工事中だので3回ほど通行止めにぶつかって迷走を繰り返すハメに。
そろそろ日が傾いてきたのに到着までの時間が読めず、ろくに休憩もせずに走り続ける。
とっくに到着したharryさんからは、「買い出し行くけど、食べたいものある?」なんて楽しそうなメールが来るけれど、
とりあえず今ここで食べるたこ焼き! というわけにも行かず、お任せしますと返して再び走り出した。
そんな訳で、あまり写真を撮りながらの道草もできなかったけれど、飯田線の小さな駅での一枚。
山桜かな。ローカルな駅と桜って似合うね。
やっと辿り着いたのは暗くなる少し前。
管理棟で聞いたバンガローの近くに2台のCBを見つける。お、ここだ。
一応ドアをノックしてみたけれど返事がないので開けてみると…。
すでに寝ている人2名。
あのぅ… と遠慮していても仕方ないので「来たよ!」と上がりこむと、やっと里崎さんが起きてくれた。
「これ、誰だっけ?」という顔だったけど(笑)
そうこうしているうちに買い出しに行っていたラスカルさんとharryさんも帰ってきた。しばらくでした。
あとは夜になってから到着予定のkobabanさんを待つのみだ。
いつものようにラスカルさんが腕を振るって作ってくれたのは、ポトフとタコの炊き込みご飯、通称タコ飯。
ご飯が炊き上がるのを待って乾杯。
日が落ちるとぐっと冷えてきて、熱いポトフのおいしかったこと!
飲んで食べて何本目かのビールが空になる頃、kobabanさんも到着。
そういえば前の冬に千葉であって以来だけど、そんなふうに思わないのが不思議だ。
夜の山の匂いがする。いい夜だ。
夜も更け、バンガローにシュラフでめいめいの寝床を作って潜り込む。
モンベルで新調したシュラフは、化繊の中綿の#5。それに年代物の山用エアマット。安宿の布団よりずっと快適だ。
仕事の疲れもが出て、消灯と同時にぐっすり… だと思ったらそれは限られたメンバーだけで、
私は残念ながら仲間に入れてもらえなかった。
魔物の巣みたいないびきが誰のかはともかく。
里崎さん、気持ちよかったろうなぁ…。
***
翌朝。
起きた時は雲が多かったけれど、だんだん日が射してくる。
昨日より暖かい感じで、いい日になりそうだ。
harryさんとラスカルさんのCL400。
同じバイクでも不思議と印象は全然違う。
文字通り愛されながら働いてきた馬のような佇まいの銀馬号。幸せそうなバイクだ。
対してラスカルさんの荒熊号(笑)は、これからそういう空気を漂わせる事になるのだろう。
タンクのリペイントの話、もう用意してあるエンブレムのことなど楽しそうな話を聞かせてもらった。
朝食は、各種パンとチーズにコーヒー。
harryさんが切っているのは、まるこさんが焼いてくれたくるみパン。
こういうパンは耳までおいしい。ごちそうさまでした。
このメンバーのツーリングは、朝だってしっかり食べてのんびり楽しむのだ。
さて、そろそろ出発しようか。
この日目指したのは寸又峡。山あいの県道を桜の名残を見ながら行く。
場所によっては満開の所も。
走りながら落ちた花びらを巻き上げる、仲間のバイクの後姿が本当にきれいだ。
そういうのを写真に残せたらどんなに素敵だろうと思うけど、記憶の中だけのものだからこそ、なのかもしれない。
大井川沿いに出て、道の駅で休憩。
裏手には大井川鉄道の鉄橋があって、SLが通るのが見られるらしい。
とりあえずイチゴやソフトクリームを食べながら、土手に腰掛けてぼんやり。
風が心地いい。気持ちいいなぁ、眠くなってくるなぁ…。
で、寝出す人達。
SLが来るまで40分くらい?
ま、寝てる人もいるから待っていようかということになり、では私も、と一旦は間に入って横になったんだけど、
背中の勾配で腰が痛くなりそうだったので降りて体を伸ばすことに。
それがharryさんのところの扉に繋がる訳です(笑)
別に、やっぱりねこにんさんの食べた方のソフトにしときゃよかったー! と、ふて寝しているんじゃないので念のため。
ちょっと転がっただけのつもりだったのにことんと眠りに落ちたらしく、声を掛けてもらわなかったら寝過ごすところだったけれど。
あの音、匂い。生まれて初めて本物を見たSLの迫力に大コーフン。
特にSLファンでもなかったけど、気持ちは良く分かる。これはたしかにいい!
ぜんぜん予定外だったけれど、待ってた、というか寝てて良かった♪
***
そして辿り着いた寸又峡。
これが例の吊橋。前を行くのはkobabanさん。
仕事では足の巾ほどもないところでも平気な私も、こんなにぐわんぐわん揺れるのはさすがに気持ちが悪い。
こういう観光地ってなにかといえば、あれはダメこれはダメという所が多いのに、これが野放図に開放されているのは
ちょっとすごいなと妙なところで感心してみたりして。
などと言いつつ一応みんなで渡ってみる。
高いところは苦手な興味がないラスカルさんは、橋の手前で待機。
万が一の時のため、全員同じところに居る訳にはいかないのだ! という判断かもしれないけど(笑)
バイクを停めたのはたまたま桜の木の下だった。
風が吹くたび、ざぁっと花びらが散って本当に雪みたいだ。
みんなで「わぁっ!」と声を上げ、見とれてしまう。 来て良かった。
山にかかる雲が低くなってきて、帰り支度をしていたら雨粒が。念のため、とカッパを着て走り出すとじきに本降りに。
雨の中タイトな峠を下り、ふもとの集落の雑貨屋さんの前で一息つく事にする。
ここまで来ると雨雲からは抜け出たようだ。
なぜか休憩スペースがあって、近所の人の憩いの場になっているような場所。
ここでちょっとした試乗会が始まって、harryさんのCLとねこにんさんのCB400FOURに乗らせてもらうことに。
CLはなんと言うか、見た目よりも現代的なハンドリングで、harryさんの操るように乗り方次第ではコーナーも十分楽しめるのが新鮮だった。
それによく管理されたオイルの中で機械が動く感触。こういう気持ちよさのエンジンはなかなか無い。
対してホンダらしいスムーズさのCBは意外なくらいステップが後ろにあって、それに合わせて変更されたハンドルと相まってなかなかスパルタンなポジションだ。
個人的にはもう少し押さえが利くハンドルの方が好みだけど、ねこにんさんはタイトターンの続く下りをけっこうなペースで続いて行く。
これもひとつの答えなんだろうな。
***
日が落ちた頃静岡の街に入り、高速に乗る前に給油。
後はインターへ向かうだけ。
給油を済ませて集まると、誰ともなく次はいつにしようの声が。
夏休み前くらいでどう?
今度はもっと東でもいいよ。
じゃあ、伊豆か箱根あたりで?
それか信州のどこか。
いいねぇ!
じゃ、それくらいにまた。
そんな風に話した後、静岡インターで手を振り合って解散。私は一人西へ。
牧の原を過ぎると本格的な雨が振り出した。思いっきりというくらいの雨粒がカッパを叩く。
それに淡々と巡行しているとお尻が痛くなってくる細身のシートで、安楽とはほど遠い移動なんだけれども。
でもまたすぐに行きたくなる。
次が楽しみだ。