たとえば横浜。
単二さん&maniさんは、このところクルマを替えると
横浜からはるばる春日井まで来て寄ってくれている。
それならこちらも、行かない訳にはいかんでしょ。
という訳で、先週末は納車間もないセローで横浜へ。
とはいえTDMかデミオで行くように、いきなり東名に乗ってしまっては慣らしにならない。
慣らしの意味合いとセローの性格を考えると、下道重視で行くのが良いのは間違いないので、
初めは瀬戸-長久手-みよしと郊外の道を地道に繋いでいたのだが、この分だと箱根を越える前に
日が暮れそうな…。
ある程度距離を稼いでから下道に戻ろうと、豊田から東名に乗った。
800kmまでは4000回転まで。
18馬力のセローがこの制約で、東名の流れに乗るのは正直辛い。
せめてこのくらいで…と、80kmちょいの巡行を心掛けるが、それでも当然追い越されまくり。
風圧に対する装備も無く、舗装のうねりをもろに拾うオフタイヤは緊張を強いられる。
TDMなら何も起きそうにない平穏な速度域でも、今のセローだと嵐の海原に翻弄される、
群れからはぐれたイワシのような気分になってくる(笑)。
それを補完してコンパクトなツアラーにも、また本来のマウンテン・トレイルにも使えるのが
セローの魅力なのだけれども。
そんな事をいろいろと考えながら、ひたすら東へ。
この日の富士山は残念ながらすっぽり雲の中。
富士で下りたら国道1号で、ここまでの残暑が嘘のような涼しさの箱根を越えた。
小田原からしばらくは海沿いを行き、藤沢辺りまで来た時点で日が暮れる。
そこからは名古屋辺りと少々様子の違う、都会の渋滞をひたすらくぐり抜け、
横浜に着いたのは19時過ぎ。
ほとんど走りっぱなしだったので、写真は無し。
この日の宿は中華街にほど近い、エスカル横浜。
別に街外れでも良かったんだが、わりと唐突に決めたので、あまり選択肢がなかった。
元は船舶関係者のための施設のようで、あちこちにそれっぽいモチーフが。
中の人も船員さんのような制服だった。
シングルでもソファーがあったりして部屋は広め。
大浴場、というか中浴場くらいだが、足を延ばせるお風呂もある。
建物は新しくはないしお洒落感は皆無だけれども、宿本来の目的で立地と予算を考えたら、
なかなか的を射た選択かも。
あらかじめ伝えておいたら、ちゃんと屋内にセローのスペースも確保しておいてくれたり。
オートバイの旅なら次も有力候補になりそうだ。
食事は当然中華街で、ひとり中華なのであった…。
***
翌朝は平日と同じく、5時半過ぎには起床。
コーヒーを買いにロビーまで下りると、中庭には雨の跡が。
前の歩道も濡れた感じで、どうも夜半に弱い雨が降ったらしいが、
もう薄日が差しているので、とりあえず天気は大丈夫そう。
待ち合わせにはまだ余裕があったけれど、早めに宿を出る事にした。
せっかく来たんだから、横浜らしい所にも寄って行こうと
赤レンガ倉庫の辺りを歩いてみる。
歩いている人もまだまばらなので、歩道を押して行ってパシャリ。
たまには早起きもいいね。
単二さん&maniさんとは、とあるデニーズで落ち合う事になっていた。
いつかの夜に見たコンパクトGTのデミオか、あるいは…、と思っていたら
タンデムのMT-07が。
セローでやってみたかった事の一つが、これ。
ゆっくりと朝食を取りながら、セローへ至るあれこれや、お互いの近頃のバイク事情などで
笑ったり感心したり。
食後はこちらのバイク用品店を見て行きたいというのに付き合ってもらって、
ナップスとラフロをハシゴ。
バイク仲間との日曜の朝を満喫して、昼前には手を振り合ったのだった。
帰りは永福から首都高に乗ってそのまま中央道へ。
上野原で降りて、この辺りへ来たら寄ってみたかった大月の猿橋へ向かう。
高速を降りた時点でもう、前方の山には低い雲がかかっていた。
どこかでひと雨来るかもしれないと思っていたら、ほどなくスマホから警告音が。豪雨情報!?
と、すぐに大きな雨粒がシールドを叩き出す。
あっという間の本降りで、とっさに逃げ込むような高架もなく、
コンビニの駐車場へ滑り込んだのはいい加減濡れた後。
雨に叩かれる灼けたアスファルトは、湯気を上げていた。
今回はよほど置いていこうか迷ったカッパを着て、猿橋に着いたのはそれから少し後。
ちょうど枝葉が軒になった木陰を見つけて、しばしの雨宿り。
少し待っていると、だんだん明るくなってきた。
すんなり着けばじき忘れてしまうような事も、雨のせいで印象が強くなる。
照りつける陽射しの下より、こんな日の方が猿橋には似合うような気がした。
勝沼に出て景色が開けると、前方の晩夏の陽射しとミラーの中の雨雲が対照的。
まだ山あいでは、雨が残っているのかもしれない。
そんな事を思いながらすっかり乾いたカッパをスタッフバッグに押し込んで、
残暑仕様のメッシュジャケットに戻った。
甲府、韮崎、小淵沢とR20を淡々と行くうちに秋空は暮れて行き、
とっぷりと日が落ちた頃に、諏訪南から中央道へ。
東名と違って80km制限は多少気が楽に思えたけれども、
やはり高速ではイワシの気分は変わらない(笑)。
いつもより多めに休憩を挟みながら家路に着いた。
***
そんな慣らしツアーは780kmで、エンジンも車体も一通り当たりが付いたような感触。
乗り手の感覚もだいぶ馴染んで、自分のものと感じられるようになった。
懸念していたお尻と膝の痛みはやはりあるものの、我慢できないほどではなく。
どのみちポジション変更はあって然るべきと思っているので、
それと合わせて考えていくつもり。
こういうのは慣れもあるからね。
燃費は38.1から驚きの41.9km/Lを記録。
だいたい260kmを越えると給油ランプが付いたけど、これだけ走れば不足ナシ。
どんなふうに乗るか、というのもある程度方向を定めている。
そもそもセローは、早く走るマシンじゃないからね。
高速ではもがくイワシでもいいの。
というかスピードを出さなくて済むなら、それに越したことはない。
オートバイという乗り物を、どうコントロールするか?
その中にあるいろんな事を、もう一度体験し直したい。
そんな私の、セローなのだ。