朝はなにかと忙しい。

昨日は穏やかな冬晴れの日曜にもかかわらず、図面を書いて過ごした。

次の次に繋がれば、と儚い希望を託すような作業で、よりによってこんな日曜を潰さなくても、と思うが仕方ない。
夕方から少し出かけて帰りに食事を取り、夜再びディスプレイに向かう。

別に期日を切られている訳ではないのだが、今週からまた慌しい仕事が始まってしまう。
早めに作って渡しておけば、こちらがバタバタしている間にじっくり考えてもらえるかな、と。

現場から疲れて帰って来て、夜そんなことをするのもかなわんし。

そして今朝。

そうやって作ったプランを手渡すべく、先方へ電話を入れる。
仕事であちこち飛び回っている人なのでどうかとも思ったが、ちょうどいいタイミングだったらしい。

ではこれから伺いますと電話を切って、車のドアを開け、ハンドルに掛けてあるロックを外す…、
というところで気が付いた。

その鍵がない。

借りている駐車場は夜は人気もないし、クルマを持っていかれたら積んである道具ごと消える訳で、
そうなると飯の食い上げどころではない。

盗難防止には心許ないものの、それでもないよりはマシかとこんなロックを掛けているのだが、
昨日実家から乗ってくるときに、すっかり鍵のことを忘れていた。
そしてタチの悪い事に、こいつはセットするには鍵を必要としないのだ。
仕事の時はいつもベルトに付けているポーチに鍵を入れているのに、今日に限ってそれをしていない。

どこにある?  そうだ、実家の事務机の上だ。

……どうする?

　①電話で事情を話して時間を変更してもらい、バイクに乗って取って来る。

　　　そりゃ賢明だ。普通はそうだ。
　　　でも今を逃すと今日会えるかどうか。
　　　明日からは現場に掛かりきりだし…。

　②すぐさま車内の野蛮な道具を駆使してロック本体を破壊。

　　　〇〇で××を※※すればできそうな気も…。
　　　でも5分やそこらでそれをやるのか?
　　　それに間違ってハンドルが変形すると困るぞ!
　　　しかも近隣住民が通報の予感。

　③ダメ元で鍵穴をピッキング。
　　　日が暮れる!
　　　これも通報されそうだし!




***

で、どうしたか。

結果的には遅れたというほどの遅れもなく、何事もなかったように目的を果たしてきたのだけれども、
その方法は治安上、内緒。

しかも破壊もピッキングもすることなく、今夜もロックはハンドルに掛かっている。 

上出来だ。

 

でももう、こんな朝は嫌。