さて、広島。
なんでこの年の瀬近くに広島かと言われても困るが、大阪より西へ行く機会はなかなかない。
だったらある機会を逃すのはもったいないぞ、と。
ちなみにツアーではありません。
妻が地道に新幹線を取り、宿を探し、路面電車を調べての旅。
国内旅行はたいてい私の担当なんだけど、今回は例外。
という訳で、オートバイやクルマとは大違いのスピードで、
9時前の新幹線に乗ったと思ったら、昼前には広島に着いていたのだった。
- 旅
そんな具合なので遠くへ来た実感が薄かったけれども、見慣れない風景や街の様子が
少しずつだんだんとそれを感じさせてくれる。
ひとつは広電と呼ばれる、その路面電車。
名古屋にもかつて市電と呼ばれた路面電車が走っていた頃があって、
奥の2トーンのような車両は記憶の底に残っている。
調べてみたら昭和49年に名古屋では全廃されたそうだが、ここ広島では現役で市民の足になっていた。
幼い日の私が乗ったような3丁目の夕日的なのから、ヨーロッパの市街地を思わせるモダンな車両が
混在して走っているのが素敵。
そのモダンタイプは、路面と出入り口の段差がほんのわずかで、感心してしまった。
公共の乗り物はこうあるべき。
もちろんバスもタクシーも走っているけれど、選択肢が多いのはありがたい。
都市部で少しの移動でも車に頼って、その度にパーキングを探して、なんてやってる
のに比べたら、なんとスマートで合理的なことか。
路駐や渋滞対策にもなっているだろう。
路上で交通機関が混在していると、他所から来た者は戸惑うこともあるけれど、
ここでは上手くシステムができているように思えた。
そしてもうひとつが川。
地図を開くとわかるように、街の中には6つの川が流れている。
元々三角州だった所を、江戸時代以降に埋め立てて土地を広げたのが現在の広島なのだとか。
そんな背景があるので、街を歩いているといたるところに川と橋のある風景が見られる。
しかも都市部を流れる河口近くの川なのに、思いの他水がきれい。
川べりは遊歩道に整備されていて、よくある堤防道路のように車がぶっ飛んでいくこともない。
空がとても広く感じられて、きれいな街だなあと思った。
しかもカフェなんかが出てたりして。
この日くらいの気温なら、オープンエアの席でもさぞ気持ちよかろうな。
直前に広島焼きを食べて満腹だったのが残念無念…。
初日は穏やかに晴れた暖かい日だったので、午後は街をぶらぶらして過ごした。
川沿いから広い通りを当てずっぽうに歩いて、目に付いたアーケード街へ入ってみたり。
そういえばJリーグはサンフレッチェが優勝とのことで、こんな看板があちこちに。
翌日は宿の近くでパレードも行なわれる事になっていた。
たまたま目に付いた石張りの古めかしい建物は旧日銀広島支店で、自由に見学できると入ってみたら、
これはなかなか見ごたえのある建物だった。
信じられないことに爆心地から380mしか離れていなかったのに、その頑丈な造りで倒壊を免れ、
内部の損壊はあったものの、2日後から営業を再開していたのだとか。
3階内部は熱波による火災で焼失したそうだが、ここは残ったみたい。
たしか応接室だったと思うけど、古びたカーペットの下は見事な寄木細工が。
今の豪華な内装とは次元が違うというか。
ただ、夜はちょっと勇気が要りそうだ。
長くなったので、とりあえずここまで。
次回の食べ物・宮島・お土産編に続きます。