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もう一日夏休み。 [旅]

最終日は雲間から陽射しがこぼれる明るい朝から。

子供の頃の夏、田舎の親戚の家で迎えた朝はこんな空気だった気がする。

家の裏.jpg

 

ONLYでもないらしい.jpg

そんな頃には思いも寄らなかった事だが、今の私にはオートバイがある。
この日は少し足を伸ばしてみる予定になっていた。

素敵.jpg

東向きに窓のある明るいキッチンからは、こんな朝食が。
お皿に美しく盛られたのは、まさしく「健康」の二文字のよう。

さて行き先はと言えば、まず久しぶりに高ボッチ高原へ行ってみる事にした。
東に見える王ヶ頭は雲の中で、おそらく標高のある高ボッチも同様なのは想像できる。
でもそれを承知で行くんだし、降りればまた夏空が待っているのを思えば
一時の霧や雨は気にすることもないだろう。

草むしりを兼ね.jpg

見送りの間にも、庭の草取りに励むまるこさんの図。
行ってきまーす。

車の多い幹線を避け、地元っ子ならでは走りやすいルートを選ぶharryさんに続くうちに
ほどなく高ボッチの入口へ。
九十九折れを登り始めると予想通り辺りが白くなり、やがて霧雨の中へ。

けっこう濡れた.jpg
                                                            harryさんより

登り切る頃には涼しいをとっくに通り越して、メッシュジャケットでは明らかに寒い。
その上にレインウェアを着込んで、行き止まりの鉢伏山荘まで進む。
本物の羊がいる牧場も、今日は霧の彼方。

温まる.jpg

舗装路は山荘の手前で行き止まり。
この先は鉢伏山までの登山道になる。
そこへ向かうハイカーはガスの中でもやっぱりいて、
自転車でここまで昇ってきた若者が山荘のストーブで暖を取っていた。
この寒さなら、体も冷えたことだろう。

彼らに比べたらずいぶんと楽をして登って来たのに、場所を取っちゃ悪いかな、
という訳でもないけれど、我々には外のテーブルの方が「らしい」気がする。
温かいコーヒーを淹れてもらって、そこで一息。

霧にも濃淡があって、白い闇が流れてきたか思えば一瞬日の光が差し込んで、
辺りがさっと明るくなったりする。
そんな時はそれまで立ち込めていた冷気から、急に太陽の温もりを感じるのが新鮮だった。

ほぼ霧中.jpg

 


***

 

 

パン屋は休業.jpg

下界に降りると一気に季節を巻き戻したような、夏の空気が戻ってくる。
harryさんお気に入りの、雑貨屋と同居するパン屋は残念ながら本日休業。

再び交通量の少ない道を選んで松本の街を抜け、アルプス公園から梓川へ急降下するような
道を駆け下りて向かった先は安曇野。
そろそろ昼時で、蕎麦でもと思うものの、店先に長い列ができていたり駐車場から車が溢れてたりで、
とてもすんなり入れそうにない。
盆休み真っ只中では仕方ないが、そうそう思ったようにはいかないようだ。

るんびに.jpg

途中、ここのもうまいんだよと立ち寄ったパン屋。
それぞれお土産代わりにいくつか買ってみた。

結局この後も、気分よく食事にありつけそうな店は見つかりそうになかった。
それなら丁度食べ物は手にしている事だし、別に蕎麦にこだわる必要もないかと、
林檎畑の中の農道でバイクを停める。
近くには小さな水路の土手があって、柔らかな下草のクッションが。
なかなか座り心地が良さそうだ。

路傍にて.jpg

焼き立ての温かさが残るパンは、まじめに作られた匂いがした。
走り出してから2、3時間でも、旅の途中、なんて思えばこういうのも悪くない。

路傍にて2.jpg

たぶん、独りで走っていてこういう展開なら、やっぱりこんなふうに人気のない道端を探して
持っている食べ物を広げただろうな。

一瞬だけばらばらと降り出した雨に、慌てて近くの農機具小屋まで雨宿りしに行ったりしたけれども、
それはそれで楽しいひと時だった。

CとD.jpg

 

 

harryさんの家に戻ってまもなく、また雨が降り出した。
ちょっどいいタイミングだったらしい。
エンジンの熱が引きかけたDトラを母艦に積んでベルトを掛け、艦載機の出番はこれで終了。

まるこさんのむいてくれた桃を頬張りながら、置いてあったBMWの雑誌を眺めて一休みする。
和室で寝転んでいたharryさんはうとうとし始めたよう。
平和だなぁ。
と思いつつ、帰りの事を考えていた。

当日の夕方から始まる地区のお祭りにも誘ってもらっていたけれど、
空模様も安定しないし、たまたまかち合った諏訪湖の花火の渋滞はかなりのものらしい。
少し早めに動き出した方がいいかもしれない。

ぱらつく雨の中、見送りに出てくれた二人に、いずれまた、と握手をして走り出した。

 

 

***

 

そんな夏休みが終わってもう10日。
また時計を巻き戻したような暑さの日々に戻って、毎日汗だくの残暑は続く。
けれどもいつのまにか暗くなるのが早くなっていて、確実に秋は近づいている。

朝、仕事に出かけようと母艦のスライドドアを開けた時、荷室に夜の冷気の残りを感じるようになった。
そんなときにはふと、山の空気を思い出したりする。

夏休みがあっという間に過ぎて行くのは、子供の頃も今も変わらない。
そして後に残るなにかを残していくのも、やっぱり変わらなかった。

 

 


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コメント 7

HIRO

こんにちは。
夏休みお疲れ様でした。
出先で迎える朝食や、好きな場所での昼食も、こういう時ならではの醍醐味ですね。
日中は暑いけど、深夜とかには秋の気配も少しだけ
by HIRO (2012-08-26 18:18) 

まるこ

暑かったり涼しかったり、土砂降りだったり、霧だったり…思えばコロコロとお天気模様が変わりましたね(^^;)。
山の天気、こんなものです。
夏休みの思い出、楽しかったですね。
来年の夏もまた、一緒に夏休みしましょ~ね♪♪
"夏"以外にもまたぜひお立ち寄りください。
by まるこ (2012-08-26 22:33) 

うえいぱうわ

夏休み、なかなか良い旅を楽しまれたようですね。
こういう時間の過ごし方っていいなあ。

by うえいぱうわ (2012-08-26 23:23) 

なおネィ

週末はharryさん宅のそばにいたのに、
夕方になってもちっとも涼しくならず閉口しました。

でもあの辺りはやっぱりいいですねぇ。
山が近くて空が大きくて。

あんなところを選んだharryさんはすばらしい。

そして、YASHさんの夏休みと、harryさんちでの仕事ぶりも
味わい深くてステキだ。


by なおネィ (2012-08-27 20:59) 

YASH

★HIROさん
今回食事は、土地のおいしいものって感じは
あまりしなかったけど、それ以上のものもあったような。

温度より、暗くなるのが早くなったのを強く感じます。
また夕方から作業灯つける日々が始まるなー、なんて。
涼しくなるのは大歓迎ですが、ちょっと切ない季節もそろそろですね。

★まるこさん
結局降ると困るときは止んでてくれたし、
土砂降りあり陽射しありで、そのメリハリがよかったです。

おかげさまで、いい夏休みになりました。
餃子も桃ちゃんもおいしかったです。
来年もお盆に水曜日が入ってるといいんだけど。
あるいは上着のいる季節にお邪魔しようかな。
山の景色が変わり、新作が増えた頃にまた(笑)。

★うえいぱうわさん
はいー。
メリハリのついた二泊三日で楽しかったですよ。
暑さに負けず走りまくるのもいいど、
こういうのも夏休みっぽくてよかったです。

★なおネィさん
白馬行ったんですね。
お盆の夕方が涼しかったのは、時々降った雨のおかげかも?

あの辺りは山が近いのに空が広いんですよね。
そして松本の街は古い建物もたくさん残っているのに、
コテコテの日本の地方都市ともちょっと雰囲気が違うし。
松本盆地の西と東は、山の雰囲気も全く違っていて飽きません。

そこに仲間が暮らすようになったのは、
自分にもとてもうれしいことなのです。
by YASH (2012-08-28 22:55) 

harry

もう2週間経っちゃいましたね。早いなぁ。
あのまま一気に涼しくなるかと期待してたのに
今週もまだ暑さが残ってますね。

お隣さんのアザミ、綺麗だったでしょ。
実はお隣さんが花苗育ててる農家だったのも、
この場所に決めたポイントの一つだったんです。
そのうちに真冬に4駆で深い雪を掻きわけながら散歩、
なんていうのも楽しみにしておいてくださいませ。
by harry (2012-08-29 20:43) 

YASH

★harryさん
さすがにお盆前とは多少暑さが違ってきましたけどね。
でもこちらの日中は動けばまだまだ汗びっしょり。
とか言ってたのを寒くなる頃に懐かしく思い出しそうですが。

自然に生えてるのかと思ったら、そうだったんですね。
秋から冬はがらっと雰囲気が変わりそう。
雪の散歩、楽しみにしています。
by YASH (2012-08-29 22:30) 

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