宇奈月ロンド。 [Ride]
恒例の秋のツーリングは、今年は開田高原から宇奈月へ。
いつもの11月だと場所や天気によってはそろそろ冬装備が要る頃だが、
ちょうど先週までは全国的に晴れた暖かい日が続いていて、絶好のオートバイ日和だった。
そんな中いつもの3人で、山あいの峠道や海沿いの高速道を、1泊2日で走り繋いで来た。
前日から松本入りしているラスカルさんはharryさんと先に合流し、R19を南へ。
自分は中津川I.CからR19を北へ上って、ほぼ定刻の9時半に木曽福島の北にある、
木祖村の道の駅で集合。
ラスカルさんが夏に乗り換えたRTを見るのは、これが初めて。
後ろからだとそれほど思わなかったのは、パニアが着いてなかったからだと思うけれども、
前から見たアッパーカウルのド迫力はちょっとないくらい。
なんだか遠近感が狂うほどで、正直写真を撮るときは一番奥に、と思うほど存在感がある(笑)。
対してharryさんはお馴染みの旅の供mysticではなく、去年に続いてRnineTで。
自分でもツーリング向きじゃないと言っていたのにあえての選択は、
いろいろとオーナーならではの思惑があるのだろうな。
少しだけそんな話をした後、ちょっと戻ったR361から開田高原を抜けて高山へ向かう。
途中はそこかしこで、色付いた紅葉が陽射しに映えていた。
例年の11月だとこの辺りはたいてい、盛りを過ぎて葉を落とす頃。
こんな明るい紅葉を見ながら走るのは、久しぶりかもしれない。
高山に着いたのは昼を少し過ぎた頃。
昼食を、と思っていたものの、徒歩での観光が主体の高山市街は、駐車場のない店がほとんど。
観光客の往来が多いこの町では、オートバイとはいえ歩道にも停めにくいので、
いっそ通過してから国道沿いの店を探そうか、とも考えたが、
ラスカルさんが調べておいてくれた店があったので、とりあえず行ってみることに。
造り酒屋の蔵を改修して食事ができるようにしたその店の横には、酒造の訪問客用なのか駐車場があって、
聞いてみるとバイクなら停められるとのこと。いい勘してます。
料理のメインは飛騨牛のようで、ラスカルさんは狙い通りステーキ、
harryさんはすき焼きのセットを。
自分もすき焼きいいよねと言いかけて、ちょっと待てよと。
飛騨牛といえば以前、とある店に予約まで入れてステーキを食べに来たのだが、
美味しく頂いたその夜中は強烈な胃もたれで苦しんで、
もー、これから牛肉はアメリカンかオージーの赤いのでいいわと誓ったのを思い出す。
なのでせっかくここへ来てるのにもったいないなと自分でも思いつつ、あえて蕎麦に。
まあ、ちゃんとした蕎麦で天ぷらも揚げたてで、美味かったからいいんだけれども。
サシの入った良い肉も、少し食べる分には美味いんだけどね…。
***
さて、あまりのんびりしていると宿に着く前に日が暮れてしまう。
ほどよく腹を満たした後は、高山西から中部縦貫道-東海北陸道-北陸道と繋いで
一気に日本海側へ。
と書くと、あっという間に思ったりするかもしれないが、実はそこそこ距離があって
とりあえずの立ち寄り先とした滑川までは150km近い。
一応当たりを付けていた海辺の公園に、ナビの妙な案内に翻弄されつつ辿り着いたのは
そろそろ夕方の気配が漂う頃。
秋の陽射しに満ちていた高山とは打って変わって、低い雲が垂れ込め、想定外の雨の匂いのする風が吹く。
晴れていれば海を背にすると、このモアイ像のような植え込みの向こうには
北アルプスの峰々が広がるはず… と思っていたのに現実はこの通り(笑)。
しかもここは海風も強くて、けっこう寒い。
ラスカルさんは黙って下したての革ジャンの上から、雨避けのアウターをもう一枚。
済まないねぇ…。
私が行きたいとか言う場所に来るといつもこんな具合で、二人には申し訳ないけれども、
狙っているワケではないんだよ、と。
じゃあ、そろそろ宿へと走り出すと、かすかにシールドに当たっていた雨が、
しっかりした降り方になってきた。
少し迷った末、信号待ちで止まった横の駐車場でカッパを着込んで、再び高速に乗り
二区先の黒部へ。
日の落ちた道をしばらく行くと、宇奈月の文字が見え始める。
そこから川沿いに少し走ったところで目的地の温泉宿に到着。
オートバイはこちらへと、スロープを下った先にある半地下の駐車場で荷物を下ろした。
食事までには少し時間を空けたので、その間にお湯に浸かって体をほぐしたり
とにかくビールで喉を潤したり、ネットのお付き合いをチェックしたり。
食事は海の幸に山の幸、肉あり魚ありでなかなか楽しめた。
ご飯はそれぞれに小さなお釜が置かれ、食べながら炊き上がるのを待つ。
地元富山産のお米なんだそうだ。
そんな夕食を堪能した後は、いつものようにオートバイや装備や、それぞれの暮らしの事など
とりとめもなく話しつつ、心地良い疲れと共に眠りについた。
***
翌朝は早々に起き出した二人の気配を感じながら、6時半頃起床。
窓の外は薄い雲が流れる明るい空。
今日もいい日になりそうだ。
まだ人気のないロビーを抜け、少し外を散歩した後、再び温泉へ。
体を温めてから、普段のトーストじゃなく、ご飯の朝食をしっかり食べて出発の準備を整えた。
朝一番に向かったのは、黒部峡谷鉄道の宇奈月駅。
ラスカルさんの提案で、トロッコ列車に乗ることになっていたのだ。
とはいえ、最終駅のけやき平まで往復するとかなりの時間がかかってしまうので、
今回は途中の鐘釣駅で戻ることにして、9時発の切符を買う。
この時間でも出発時は満席。
しかも海外からの人たちがとても多くて、ちょっと驚きだった。
写真はもちろん、妻にも見せようと珍しく動画も撮ったんだけど、
あまり多くなってもいけないので、まとめたものを載せておきます。
自分だけだったら、素通りしていたと思うこのトロッコ列車。
元々は黒部ダムの建設資材や、人員を運ぶために作られただけあって、単なる観光鉄道とは一味違う。
乗ってみないと想像できないような視線もあったりして、なかなか楽しい体験だった。
途中で降りたから余計に、その先が気になったりして
今度は違う季節にまたじっくり乗ってみたいと思ったりして。
やはり食わず嫌いはよくないですな。
***
そんな宇奈月の駅を走り出したのは11時過ぎ。
糸魚川からR148で戻ることにしていたので、とりあえず北陸道で糸魚川へジャンプ。
そこでレベルが高いと聞く、北陸ローカルの回転寿司を食べるつもりでいたのに、
目指した店は見事に定休日。
仕方ないので、どうせなら国道沿いのラーメンとかじゃない方がいいよねと、
最寄り検索で探して4キロほど先へ。
ナビでもなかったらまず立ち寄ることはないような、国道から少し奥まった所に建つ
旅館の1階が示された店だった。
聞いてみると食事だけでも、ということなので、そこで海鮮丼を。
ちょっとギャンブルな気もしたけれど、それほど大ハズレでもなくひと安心。
R148へ出てからは、仕事で行き来のあるharryさんの先導で混まないルートを取りながら南へ。
最後に安曇野の道の駅で休んで、後は高速に乗るだけ。
今回は久しぶりに装備や自分のオートバイの事で、考えることがいろいろあった。
TDM900は世に出てからもう10年以上経つので、昨今のニューマシンと比べると古さが否めない部分はあるものの、
他に見当たらないバランスの上に成り立つ乗り味があるのも確か。
この700kmでそれを再確認しながら、ポジションや体に触れる部分が今の自分の乗り方に
ちゃんと合っているか、再び見つめ直すいい機会にもなった。
今頃ではあるけれど、それがこれからに活かせれば、と思っている。
さて来年はどんなルートが辿れるかな。
[おまけ]
今回は行きの開田高原の明るく開けた紅葉と
帰りの黒部峡谷の深い紅葉のコントラストが楽しめて
なかなか良かったですね。
どんよりした鉛色の日本海も、そういう合間にあって
振り返ってみると悪くないし(笑
ラスカルさんの手配のおかげなんだけど、オートバイを降りて過ごす時間が
あんなふうに楽しめたのは久しぶりでした。
ちょっと次回は旅先での楽しみ方を変えてみようかな...なんて思ったりして。
次回の旅にはMysticで現れると思うので、どーぞお楽しみに(微笑
by harry (2015-10-28 11:39)
★harryさん
今回は本当にお天気にも恵まれて、と思ってたら
まさかの雨もあったりして。
実はあの雨、私は朝まで残る気がしていたんですよ。
ハズれて良かったです。
トロッコ列車ってもっと観光用に作られたものだと思いきや、
生い立ちが生い立ちなだけに、ホンモノっぽさ溢れてましたね。
近頃はお寺や神社も回ってるラスカルさんの嗜好とは
結びつかなかったんだけど、おかげで楽しめました。
今更ですけどTDMを見直そうと思っているので、こちらも次回をお楽しみにv
by YASH (2015-10-30 19:50)
そうそう食わず嫌いは損をするのですよ(笑)
バイクに乗ってばかりでは写真を撮る時間も限られてしまうと思っていたのでね。
走っている時間が楽しいのは当然だけれど・・・
それ以外の時間も楽しめるように考えて旅をしないと、タンデムの時などは飽きさせてしまったり。
今回みたいに旅をしながらも、次回は相方を連れて同じようなルートを辿ろうと思ってしまうのです。
寺社巡りは相方の趣味ですが・・・
オイラもそういう場の空気感を感じながら歩いたり、写真を撮って歩くのは楽しいと思っていますよ。
神社もダムも発電も同じ。
それを造る為に人が色々な想いを込めて、努力して技術を使ったという歴史を感じます。
自然からもエネルギーを感じるように、そういう造り上げた人々の込めたエネルギーというのを感じながら少しでも写真などに残せれば と思っています。
by rascal (2015-11-02 15:43)
★rascalさん
一人で走るときは、ちょくちょく止まって写真を撮ったり
枝道へ入り込んだりする方なので、一日走ってもさほど距離は伸びません。
走ってなんぼの人から見たらタルい走り方とも思えますが、
目指すものが違うんでしょうね。
ラスカルさんの言うその場の空気とか光を、カメラを向ける事によって
噛みしめようとしているのかもしれません。
そしてそれは単なるきれいな風景写真が目的じゃなくて、
オートバイ乗りだからこそ持てる視線を残したい。
なかなか思うようには撮れませんけどね。
そんなバイク旅のスタイルは、これからも変わる事はないと思います。
by YASH (2015-11-03 21:40)