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ズレてる風。 [音楽・映画]

我が家のご機嫌なイベントのひとつに、コンサートへ行くというのがある。

たいていは年に一回あればいい方なのだが、6月のVan Halenに続いて
この秋は2回、会場へ足を運ぶ機会に恵まれた。

そんな話を少し。

 

大阪野音1.JPG

9月の終わり、大阪城の野外音楽堂で見たのはエレファントカシマシ(以下エレカシ)。

正直言って全面的なファンかと問われると、多少返答に歯切れが悪くなるのが自分にとってのエレカシだ。
にも関わらず、チケットを取ってしまって心底のファンには悪いけれども、
そのあたりはそれぞれのくじ運に免じて。
もちろん好きな曲はいくつもあって、ちゃんと楽しみにして行ったのは言うまでもない。

そんなエレカシは去年、新曲を発表した直後にボーカルの宮本の急性音感性難聴のため、
活動を休止していた。
一応、その曲のPVを貼っておこう。




なんで鎧武者が出てくるのかと言えば、映画「のぼうの城」のエンディングテーマだったから。
オートバイ乗りの視点で見ると、冒頭の走行シーンのヘルメットが目に付くが、
そこはあえて触れないでおこう。所詮PVだ。

色や食べ物と同様に音楽の嗜好も人それぞれだから、曲についても触れないでおく。
個人的にツボだったのは、往年の黒沢映画みたいに立ち上がるタイトル文字。
そしてガラス乾板の古写真のように処理された写真には見入ってしまった。
舞台は戦国時代なのだから、武士達の集合写真なんて有り得ないのは分かっているが、
こんなふうに見せられると役者達の表情と相まって、不思議な説得力を感じてしまう。
妙なところで感心してエレカシには悪いけれども。

さて、当日は秋晴れの野音日和。開演は夕方4時だった。
穏やかに暮れていく秋の宵の空へ、時に静かに、時に激しく演奏と歌声が流れていく。

ほとんどMCというものをしない宮本には珍しく、曲の紹介や治療中の事なども聞かせてくれた。
東京・日比谷の野音に続く復活のコンサートということもあって、
我々観客の期待が大きかったのはもちろんだが、当の本人も心の底から
再びこの場に立つ喜びを噛みしめている、そんな気持ちが伝わってくる。

もしかしたら難聴が回復しないまま、音源と記憶の中で歩みを止めてしまっていたかもしれない
彼らだが、そんな事は微塵も感じさせない素晴らしいステージだった。


なんて書くと結局ファンみたいでなんだけど。

でもやっぱり同年代だし、体を壊して休んで、そして元気になった姿を見ると
良かったなあと思ってしまうのだ。

だからと言って彼らの歌にあるように、さあ、がんばろうぜ、とは言わない。
そんな分かりきった事は胸にしまっておいて、それぞれの役目を明日からも果たそうぜ、と
夜の高速を帰ったのだった。

 


***




OT.JPG

先週は奥田民生のツアーコンサートに、日本特殊陶業市民会館へ。
初めて聞いたときは どこだソレ? と思ったが、名古屋市民会館の事だった。
そんな名前になっていたとは知らなかったよ。

エレカシと違って正直言っても言わなくても、奥田民生は好きだ。
LeAnn Rimesも相変わらず好きだが、英語の苦手な私にはいかんせんLeAnnの歌は歌えない。
が、民生の歌は口ずさむことができる。
この違いは大きい。

しかも彼の書く詞は、平易な言葉で力が抜けていてわかりやすく、なおかつとても共感できる。
ああ、俺もこんな言葉でブログが書けたらなぁ… とよく思う。
無理ですね。

ちなみにエレカシの曲は、言葉は分かるが私には歌えない。
というか、たいていの人は一曲通して歌うと倒れそうになるはずだ。
音域が広すぎる。
エレカシの魅力は宮本にしかまともに歌えない、というのもあるんだと思う。


さて、新しいアルバムも出ていないのに、なんのツアーだと思ったが、
そういえば新曲が出ていたのでこれも貼っておく。




ここまであっけらかんと能天気に未来を歌われたら、ダミー人形の立場はどうなる。
この曲にこのストーリーは反則だと思うのだが、まあ、受け取り方は自由なので。
というか、この人のPVの反則は今に始まったことではないが。

民生の魅力はそういうところにある。
力が抜けていて、飄々とやっているようで、実はとんでもなく周到に練られた表現だったりする。
それを表に出さないのがいい。
基本、カッコいい事をカッコよく見せちゃったらカッコわるいだろというスタイルの癖に、
たまにオトコ心のど真ん中に訴える歌があったりして、そんな二面性も聞く側を楽しませてくれるのだ。


さてさて今回のステージはといえば、ギター一本とかひとりカンタビレとかではなくて、
4人編成の王道バンドスタイル。
「タミオちゃーん」などと、おそらく同年代の女性の歓声が飛ぶ中、
やはり飄々と、というか見方によってはだらだらとベースの小原礼とおじさんの掛け合いをしつつ、
客席を沸かせつつ、それを本人も楽しみつつ、なおかつ演奏も楽しませてくれた。

実はこのコンサートを知ったのは当日の一週間ほど前で、平日という事もあってちょっと迷ったのだが、
行ける時に行っとこうと急遽チケットを取ることに。
おかげで席は最後列だったが、それでもライブの楽しさはその場にいないと持ち帰れない。
まだツアーは続いているので、迷ってる人はぜひに。

 

***

 

コンサートで元気を貰いました、なんて事を時々耳にする。
民生はそれを、「幸せを呼ぶ金の鳥」と歌っている。

金の鳥を捕まえに行くのは楽しいぞ。

ちょっと疲れるけど。

 

 


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コメント 6

FTドルフィン

no music no life !
by FTドルフィン (2013-10-30 06:40) 

まるこ

○○年前、ある方のコンサートに頻繁に行ってました。(気力体力満ち満ちてたので(笑)都会まで頑張って出て行って。)
その頃を思い出しました。
いいですよね、好きな音楽を生で聴き、一緒に楽しむ時間&空間。別世界にいるような感じ。

我が家では、そんなイベント実行したことがありません。でも、してみたくなりました。
・・・がしかし、田舎には”魅力的な方の催し”がない(;'∀')...。
映画で我慢するかぁ。

by まるこ (2013-10-30 07:38) 

うえいぱうわ

ふーむ。なるほど。こうしてみるとなかなか楽しそうですね。
音楽を聴くという趣味が無い私ですけど、少し興味が出て
きました。
by うえいぱうわ (2013-10-31 12:22) 

YASH

★FTドルフィンさん
無くても死にはしないけど、無かったら味気ないですよね。
音楽は心の彩り、かな。

★まるこさん
やっぱり東京・大阪・福岡が多いですけど、
アーティストによっては地方都市の小さなホールにも来てくれたりしますね。
松本にもZEPPとかできると、こちらかも行く機会が増えそうな予感。

黒犬氏がノリノリな様子って… 想像できない(笑)
けっこう一人で来ている女性もいるので、
まるこさんも機会を見つけてぜひ再び。
気力体力は後から着いてきます!

★うえいぱうわさん
コンサートは聴くのももちろんですけど、
体のいろんなセンサーで感じに行くのが目的かもしれません。
その結果、レコードとは違った発見があったりして、
そういうところも楽しいですよ。

by YASH (2013-10-31 22:00) 

Nori

いい感じですねぇ。
両者とも、夫々の持ち味が出てる感じで。
コンサートなんて、もう何年も行ってないなぁ。
路上でやる人々をぼーっと見ることはありますけど。
たまには、行ってみるのもいいかも。
by Nori (2013-11-16 22:16) 

YASH

★Noriさん
会場へ行くとですね、客層というかファンの人たちの雰囲気も
当然違う訳で、そういうのを見るのも面白かったりします(笑)
映画も部屋でDVDで見るより、映画館で見る方が本物って気がしますよね。
音楽も、特にロック系はライブを知ってこそって気がします。
好きな歌い手があればぜひに。


by YASH (2013-11-18 21:33) 

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